第9回 郡元陸橋から

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文・東川隆太郎  スケッチ・浜地克徳

郡元陸橋から

「電車が来た。」とおもわず声をあげた。もう平均寿命の半分を過ぎた年齢なのに、決して珍しくもない電車に過敏に反応してしまう。この電停の魔力がそうさせる。理由は簡単。電車を見下ろすことができるからだ。電車の屋根なんてそんなに頻繁に眺められるものでもない。長方形の箱が走っているという印象以上に、パンタグラフの形状や電線との接合部に気をとられてしまう。この電停は電車が三方向から登場する。直進するよりもカーブを描きながらやって来る電車の方がかっこよく映る。しかも時間をかけて往来するから頼もしい。いつだったか、つい電車を眺めすぎて、待ち合わせに遅れそうになったことがあったほど、この電停は時間を忘れさせる。

郡元陸橋から