文・東川隆太郎 スケッチ・浜地克徳
坂道は下からのぞくのがいいよと、誰かに教えられた。そのことを素直に素敵だと感じられた時に、私は大人になったような気がする。大学3年生の頃だった。じゃあそれまでは何者だったかというと、坂道を駆け上り駆け下りる体力のある青年だった。今やそんなことはせず下からのぞいて、眺めて、登りはしない。用事がないから。でも坂道そのものが必要なのだ。ここの坂道は特に私にとっては観賞用。分かれ道になっていて、しかも坂道。なんだか人生みたい。だから今日も下からのぞきにいってみる。

文・東川隆太郎 スケッチ・浜地克徳
坂道は下からのぞくのがいいよと、誰かに教えられた。そのことを素直に素敵だと感じられた時に、私は大人になったような気がする。大学3年生の頃だった。じゃあそれまでは何者だったかというと、坂道を駆け上り駆け下りる体力のある青年だった。今やそんなことはせず下からのぞいて、眺めて、登りはしない。用事がないから。でも坂道そのものが必要なのだ。ここの坂道は特に私にとっては観賞用。分かれ道になっていて、しかも坂道。なんだか人生みたい。だから今日も下からのぞきにいってみる。