第22回 草牟田墓地

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文・東川隆太郎  スケッチ・浜地克徳

草牟田墓地

墓地をぼちぼち歩くのが好きだ。特に墓石の形状や敷地、灯篭などが統一されていない墓地をぼちぼち歩くのが好きだ。草牟田墓地は、この視点からいくと最適といえる。坂道も憎らしく思えるくらいに続くし、江戸時代の年号やなかなかに有名な武家の名前が刻まれた墓石がほどよく点在しているから、つい時間を忘れて歩いてしまう。もちろん、じっくり観察した際には手も合わす。200年くらい前のひととどこかでつながったような感覚になることもある。草牟田墓地が誕生したのは、大正年間。それ以前には陸軍の火薬庫があった時代もあった。この火薬庫が西郷隆盛設立の私学校の学生らに襲撃されて、西南戦争に発展した。火薬庫で思い出したが、私が予備校生の頃、この墓地周辺の崖が大雨で崩れ、その土砂を除去するアルバイトをしたことがある。その際に太平洋戦争中に米軍が落とした焼夷弾の一部が発見されて、作業が一時中断になった。それまでもぼちぼち作業を続けていたが、さらに作業はぼちぼちになった。空を見上げる回数も多くなり、墓地の向こうの空の青さが妙に印象的に映った。なるほど、墓地はいろんなことを思い出させてくれる。

草牟田墓地