第23回 草牟田の路地2

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文・東川隆太郎  スケッチ・浜地克徳

草牟田の路地2

遠くまでみつめるという感覚は、小学生の頃の朝に培われた。視力向上の訓練として、朝礼前に、校庭から遠方に備えつけられた視力検査の際に登場するマークを凝視することが義務付けられていた。高いマンションに設置された視力検査のあれを1分くらい凝視する。私は、見るふりして別なものばかり眺めていた。空とか雲とかベランダとか。だから遠くをみつめることには慣れている。慣れるものなのかはわからないけど。通りに家々がほぼ同じ高さで並んでいる。どこでもあるような風景。遠くをみつめると家も電信柱も手前のものよりかすんで映る。時々、かすんだ空間から車やひとが表情を濃くしながら近づいてくる。それらが通りすぎるまでの時間はどこでもあるし、どこでも起こり得る出来事。いつもと何かが違うという視点を草牟田だろうが、笹貫だろうが、田上だろうが、柳町だろうが、常に得られるようになったら詩人に近づいたといえそうだ。今はちょうどそんな感覚。

草牟田の路地2