第24回 新照院の階段

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文・東川隆太郎  スケッチ・浜地克徳

新照院の階段

冬になると動きが少し鈍くなる。自分だけかな。階段の上り下りも、夏に比べると若干時間がかかるような気がする。だからという訳ではないが、冬の階段は眺めるに限る。もちろん、上らないといけないときには上るのだが。眺めることが楽しい階段が、案外鹿児島には点在している。私にとっては観賞用、住民にとっては生活用。谷や山を切り開いた大規模な団地には、とにかく長い階段もあるが、それらは眺めるだけで疲れを催しかねない。ついつい上ることを想像してしまうからだ。今の私の精神体力的では、10段前後くらいが鑑賞用の階段として手頃かな。それを超えると想像もしんどい、とかなり軟弱なことをほざいているが、ここの階段は精神体力的にもかなりベストの部類。段差も程よく、両方に手すりがあるやさしさ、上りきった位置にある住宅にも階段とともに歩んできた風格があり、なかなかのコンビネーションだ。選挙や宣伝の看板に囲まれていることを気にさせないくらいの存在感が両者にはある。もちろん上ってみなかったが、鑑賞後に誰かに伝えたくなったから絵にしていただいた。背景にある森のような林のような雑木も効いている。

新照院の階段