今村明恒が譲り受けた黒田清輝「桜島爆発図」

リージョン26号誌面

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あけましておめでとうございます。

2012年もリージョンをどうぞよろしくお願いいたします。
先日、ブログやtwitter、Facebookでもご紹介した
大桜島絵画展「桜島百景~画家たちが見つめた桜島~」を観てきました。
これだけたくさんの画家が描いてきた桜島ですが
一つとして同じものはなく、
また同じ画家でも桜島の表情は絵ごとに違っており、大変面白く拝見しました。
個人的に
印象深かったのは、梅原龍三郎、香月泰男、黒田清輝の描いた桜島です。

 

梅原龍三郎はあの独特のタッチで、
「霧島」というタイトルの絵を描いていました。
「大桜島美術展」なのになぜ霧島?と思ったのですが、
理由は絵を見ればすぐにわかります。
霧島から望む桜島が描かれているのです。
解説パネルに「霧島の自然に抱かれたかのような桜島」
とありましたが、まさにその表現がぴったりの絵。
霧島から見る桜島はとても新鮮に感じました。

 

香月泰男「桜島」は、香月が晩年に九州を旅行した際に描いたもの。
香月泰男は戦後のシベリア抑留体験を基に
「シベリア・シリーズ」という絵画群を生み出した画家として知られています。
同シリーズのイメージの強い香月が
桜島を描いているということで、強く印象に残りました。

 

そして、黒田清輝の「桜島爆発図」全6点。
大正3年の桜島大噴火の光景を描いたものです。
黒田はこの時、病気の実父を見舞うため、鹿児島に帰省していました。
噴火の被害を恐れ、父を大八車に乗せて市来にまで避難した黒田でしたが、
そんな状況の中で6枚の「桜島爆発図」を残しました。
持ち合わせのキャンバスがなく、葉巻きの蓋のベニヤ板に絵を描いたそうです。

 

「桜島爆発図」は、リージョン26号「薩摩のイノベーター」で取り上げた
地震学者・今村明恒が黒田から譲り受けた絵でもあります。
今村は、黒田からこの絵を譲ってもらったことを大変喜んでおり、
その無邪気な喜びようは、今村が執筆した
『大正三年桜島噴火探検二十五週年追憶記』の序文に表れています。
以下、抜粋です。

「或る日すばらしい獲物があったといって(大森房吉博士が)余に示された
のは
六枚一組の版画であった。それは黒田清輝画伯の手に成った噴火当初か
らの
写生帖である。(略)余は(大森)博士の手柄談を聞き、心密かに一層
の功
を収めんことを期して、直ちに画伯を訪ねた處、計画図に中り、其六枚
の油
絵
は固より、避難の途中写生の素描を帖面から切取り落款まで押して余
に恵
与
せられた。実に大森博士には万事に頭の上がらなかった余も此時ばか
りは
聊
か勝利を得た様な思をしたのであった。」

ぜひ、鹿児島市立美術館で実物をご覧ください。(前村)

 

<Information>
大桜島絵画展「桜島百景~画家たちが見つめた桜島~」
開催期間:2012年1月2日(月)~2月5日(日)
【休館日】1月10日(火)、16日(月)、23日(月)、30日(月)
観覧料:一般800円(600円)、高・大学生600円(400円)、小中学生400円(200円)
*()内は前売り及び20名以上の団体料金。
年間パスポートまたは障害者手帳提示者も同料金で観覧できます。
会場:鹿児島市立美術館 鹿児島市城山町4-36 TEL 099-224-3400
http://kagoshima.digital-museum.jp/artmuseum/

2 Responses

  1. 年末、鹿児島経済新聞にも「大桜島絵画展」の開催告知記事を敬させていただき、全国の方々から大きな反響がありました。遠くはニューヨーク在住の鹿児島県出身者から、「桜島だぁ。。。」と望郷の念を強く感じるメールをいただきました。市立美術館の学芸員・松下幸男さんから作家一人ひとりの逸話、エピソードを拝聴する機会にも恵まれました。絵画にある「物語」を「知らしめたい」と強く思うことでした。
    今回の展覧会開催の意義は深いものがあると思います。吉井画伯が桜島を描く時、いつも「声なき声を聴け」と語られていたそうです。自然に対する畏敬の念を我々は忘れてはいけないのです…。一人でも多くの方々に会場へ足を運んでいただきたいものです。

  2. 山下さん、いつもご感想ありがとうございます。
    (特にFacebookではお世話になっております、ありがとうございます)
    今年もどうぞよろしくお願いいたします。

    鹿児島で桜島の絵画を集めた美術展、というと珍しくない企画のように聞こえますが、それぞれの絵が描かれた背景や作家の思想を知ると面白さが格段に増します。県外の方に観ていただきたいのはもちろん、日々、桜島を目にしている鹿児島の方々に今回の展示を見てもらえたら、と思いました。「声なき声を聴け」とは蓋し名言ですね。間近にある桜島の声だけでなく、それぞれの絵や作家の声に耳を澄ますのも楽しそうです。